5 スイス・アーミー・マン/ダニエル・シャイナート、ダニエル・クワン
ダニエル・ラドクリフが死体役でおならの力を使って海を進んだり、口から水を延々吐いて水道がわりになったり、勃起して方位磁石になったりする映画。
ポール・ダノはすごい女性的な顔をしてるんだなあ。
生きてると、生きていくために色々なルールに縛られる必要が出てきて、でも死体からすると「なんでそういうルールに従わないといけないの?」って思ってしまう。ラドクリフはポール・ダノに「おならは隠れてするもんだ」って言われてショックを受けてる。「ほかにも何か隠し事をしてるんじゃないの」と勘ぐる。
アメリカ映画はコメディ映画を作るとき必ずゲップとオナラを入れ込んでくるけど(そこにお馬鹿コメディだともういっちょスライムみたいなのを吐くってのが乗る、所で実際ゲップとおならってそこまで面白い???)、一ギミックでしかないはずのそういう「下ネタ」でどこまで哲学できるかって感じの映画だな。
色々なルールがあるんだけど、でも、愛する行為には死んでもなおルールがある。人前でオナラをする禁忌と、初対面の女性に「セックスしよう」と言う禁忌、その違いはどこにあるんでしょうね。
死体役が女性だったら、もうちょっと社会規範からの逸脱みたいなテーマ性がくっきりしたのかも。いや、「セックスしよう」のヤバさは男のほうが際立つかな。
二人きりで楽しくやってて、ほっこりさせられて、ゲラゲラ笑えて、最後はなんかちょっといい気分で見終われる感じだった。デート向きかと言われると分からないな・・・。
抑圧的な父親の元で育って、女性に話しかけるのすらできないような自己肯定感の低い若者が、地元から逃げ出して自殺しようとしている。彼自身の成長はあったのかなあ。どうでしょうねえ。