森田の映画記録

観た映画を記録していきます。

12 グリーン・インフェルノ / イーライ・ロス

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まず何よりも最初にR18指定がなされている映画であることを断っておきます。18歳以下の方はこの映画を見てはいけないし、このレビューも読まないでください。

 

こないだからツイッターで「子供が騒ぐのは仕方ないけど、子供の親がちゃんと躾をしてないのが気に入らねえ」みたいなつぶやきがバズっていて、賛否両論(「賛」の方がおおっぴらに議論できるっていうのが日本のヤベえところだけど)あるんだけど、それを見てて、なんとなく、こう、「弱者にあらまほしい態度について、強者である私が規定する」っていうことがあるなあと思ったんだ。

例えば、電車で妊婦に席を譲ったら、妊婦は必要以上にペコペコして、スマホとかいじらずに、お腹を慈愛の目でさするのがあらまほしくて、足くんでスマホでツムツムしてたら「は? 譲って損した」って思う、みたいな。

 

議論飛躍してない? って思う人もいるかもしれないけど、グリーンインフェルノもそういう映画として観ることが可能なんじゃないかと思うねん。というのを、あらすじとかを説明したあとにつらつら書きます。

 

今回は、みんなグリーンインフェルノ大好きだから、まあ観とくかと思って観た。

筋はまあ「原住民族の住む土地の森林開発に反対する大学生グループが、現地で抗議活動を行ったら、原住民族に逆に捕らえられてしまったし、彼らには食人の習慣があったのでみんな食べられそうになってしまう」みたいな、パニックホラー(?)。

 

救ってあげようと思った人が自分たちを殺してくるっていうのがなんで怖いかというと、私たちは「こんなに救ってあげたんだからこういう態度をとるよね?」っていう「弱者の態度」を心の中でコッソリ規定しているところがあるから、それが裏切られたときに、対象のことを何もかも理解していなかったっていうことが分かって恐怖、なんじゃないかなあ。なんかそういうのあるよね。「日本は戦争でアジアを発展させてやったんだから、アジアの各国は(日本もアジアなのに・・・)みんな親日のはずだ」とか。

 

で、「別に全然感謝してねえよボケ、俺らは俺らでやってくだけじゃ」みたいな態度の表明として最たるものが「そいつらを食べちゃう」ってことで、だからすごい怖いし、意味わからないし、単純な恐怖になる。

 

「せっかくよくしてあげたのになんだよ」っていう感情ってわりと私は理解できる、これってなんか、意識高い系の奴らが無様に殺されて愉快とか、人に親切にしても無意味とか、そういうふうに読み解くよりも、なんか、「弱者に対する"しおらしい態度"の強制」みたいなのってあるよね、みたいなふうなほうが私は好みかなあ。ああこういうことあるなあと思って見た。

 

主人公は最後、「部族の人たちが私を守ってくれたから帰還ができた、彼らは優しかった、食人もしていなかった」って国連の人とかに話して、それで部族の人の開発をやめさせるんだよね。その判断が正しいのか、それは「救ってやった」ってことになるのか、どうなんだろうなあ〜と思った。

 

まあそういう感じ。

 

あと、全然話変わるんだけど、よくもまあこんなに壮絶な殺し方を考えるものだと思った。これ「部族の人が考える殺し方」ってことになってるけど、イーライ・ロスが考える殺人方法だよなあ。こういうのってどういうふうに考えればいいんだろう。

 

あらすじで、パニックホラーっていうのにクエスチョンマークを付けたのは、食人の描き方がものすごく「こういう文化なのでみんなでこういうことをしています」っていうナチュラルな感じだったから。生きたまま食べるとかそういうの、人間でやるからものすごい野蛮な感じがするけど、それって踊り食いの文化のある我々が言えたことじゃないしなあ。

 

でもねえ〜、この映画は「ゴア描写を求めるアメリカ人が、ゴア描写を求める人のために作った」っていうことで、多分製作者には「食人文化を営む原住民」は存在しないよね。そういう映画を観て「食人文化っていうものが文化としてあるんだと思った」みたいに言うのはどうなんだろう、どうやって理解すればいいんだろうな、と思った。

 

あと個人的にだけど、私はこの映画のレビューを好意的にというか、「おもしろコンテンツ」みたいなノリで書いてる人がちょっと嫌だなあと思った。カニルカニバル〜!みたいな。なんか別に食人っておもしろコンテンツじゃないし・・・。これは蛇足だけどなあ。